見せられた携帯の画面には昂君からの、『今から行く。』というメール。

颯は立ち上がると部屋を出ていった。

10分後、早紀ちゃんが来て、あたしの前に座った。

あたしは麦茶を早紀ちゃんの前に置く。

早紀ちゃんは少し目が潤んでて、こんな早紀ちゃん初めて見たかもしれない。

「実結…あたし、どうしよう。」

いつもうじうじあたしみたいに悩んだりしない早紀ちゃん。

いつもあたしの背中を押してくれる早紀ちゃん。

だから今度は頼りないけど、あたしが早紀ちゃんの力になりたいんだ。

「早紀ちゃんが本当に、一番一緒にいたいのは誰?」

そう言うと、早紀ちゃんは顔をあげた。

「…あたしが一番一緒にいて、楽しくて、心が温かくなって…安心できて、ワガママ聞いてくれて、いつも笑っててくれるの…そんなの…」

そこで一呼吸置いて、あたしをまっすぐ見て、言った。

「昂しかいない。」

そうだよね、いつも昂君は早紀ちゃんだけを思ってきた。

明るくて、優しい昂君は早紀ちゃんが本音で接せられる、最高の相手だと思う。

「でもその前に、ちゃんと高見先輩と話してくるね。」

「えっ!」

そうだった…高見先輩が早紀ちゃんに告白したんだった。

「大丈夫!明日、ちゃんと昂に気持ち伝えるから!」