このままここにいるわけにもいかないので、とりあえず映画館を出る。

「このあとどうする?」

「腹減ったし、なんか食う?」

時計を見ると、すでに12時をまわっていた。

四人で近くにあったファミレスに入る。

「さっきの映画、すっごくよかったよねー!」

「ほんと!感動したわー…」

映画の話題で盛り上がるあたしと昂君。

早紀ちゃんは真剣にメニューを見てて、颯はまたまた欠伸をしている。

やっぱりこの二人、にてる。

自由なところが。



ご飯を食べ終わり、レストランを出る。

ここからが今日一番の大勝負。

あたしと颯はタイミングを見計らって、はぐれたふりをして早紀ちゃんと昂君を二人きりにする作戦。

「あ、ちょっとここみていい?」

早紀ちゃんが指差したのはアクセサリーショップ。

よし!今がチャンス!

「颯、今だよ!」

こそこそと小さな声で颯に言った。

「はあ…めんどくさ。」

ため息をつきながらも颯は早紀ちゃんの方に向き直った。

「山下、俺ら日菜さんにちょっと買いもの頼まれてんだ。だからちょっとここで別行動でいいか?」

わおっ!お母さんを使うとは颯もなかなか…やるな。