「昂、遅いな…あいつがチケットもってんのに。」

何やってんだよ、あいつは。

すると、向こう側から昂が走ってやってきた。

「ごめん!ちょっと遅れた!」

見るからに不機嫌そうな山下。

バカか!こんな日に遅刻なんかしてんなよ!

「遅いっ!五分遅刻!」

山下が携帯の時計表示を昂の目の前につきだした。

「まあまあ、早紀ちゃん!昂君のおかげで映画見れるんだからさ!ね?」

フォローしろと言わんばかりの顔で俺を見てくる実結。

「そうだよ、昼飯も昂が奢ってくれるらしいから!」

「はあっ?颯!お前…」

文句を言いたげな昂を睨み、目で訴える。

「…わかったよ。」

「じゃあ行こー!」

やたら元気な実結の声で、始まった協力作戦。

なんだか先が思いやられる。