「ごめん、遅かった?」

「ううん、あたしが早く出すぎただけ。」

よかった、俺が時間間違えたのかと思った。

そして改めて実結を見て、絶句。

なぜなら、あまりにも可愛くて。

丈の短めの薄いピンクのワンピース。

それは実結にすごく似合っていて、なんだかいつもの実結とは違う雰囲気。

緩く巻かれた茶色い髪には俺が誕生日にあげたヘアピン。

普段はしてないのに、薄く化粧もしていて。

「颯?どうしたの?」

だけど本人にかわいいなんて恥ずかしくて絶対言えない。

「別に、行こう。」

だからわざとそっけない返事をしてエレベーターの方に向き直る。

「颯…この服、似合ってるかな?」

ワンピースの裾を軽く引っ張って俺を上目遣いに見上げる実結。

そんなの、似合っているに決まってんだろ。

いつもは部屋着か制服だから。

可愛くて今にも実結のこと、抱きしめてしまいそうだ。

俺、顔赤くなってるな…多分。

「わかんねえよ…」

そう言ってそっぽを向いた。

本当は可愛くて仕方ないのに。