「聖、ちゃんとしてないと真結ちゃんに捨てられちゃうわよ。」

いつのまにか母さんが洗濯機から洗濯物を取り出していた。

あぶね…もうちょっとで聞かれるとこだった。

実結と付き合いはじめて一年以上がたつけど、未だに知ってるのは兄貴、真結ちゃん、昂、山下とそれからなぜか西田くらいだ。

別に言いたくないわけじゃないけど、母さんや日菜さんに知られたら絶対からかわれるのが目に見えてる。

ただでさえ、母さんは実結が好きで、ことあるごとに「実結ちゃん、彼氏いないなら颯の彼女になってくれないかしら…」とか言ってる。

「母さん!不吉なこと言うなよ!冗談に聞こえないって!」

確かに。

そんなやりとりを聞いてると、玄関でチャイムが鳴った。

多分実結だ。

いつのまにか約束の10時になっていた。

だけど俺より先に母さんが玄関に走っていく。

「実結ちゃん!どうしたの?今日はいつにもましてすっごくかわいい!」

ちっ…捕まったか…

「えへへ…そんなー…」

照れてる実結を連れ出して、半ば強引に玄関の扉を閉めた。