「平野君、本当にありがとう!」

答えも教えてくれて、その上解き方まで教えてくれるなんて、なんて親切なんだろう!

「疾風でいいよ。」

「はやて?」

「名前でいいってこと。俺、あんまり名字で呼ばれんの慣れてないんだよね。」

確かに平野君のことは男女問わず、みんな「疾風」って呼んでるなあ…

「じゃあ、疾風君?」

高校からの男の子の友達を名前で呼ぶのって少し照れる。

「俺も実結でいい?」

「うん!疾風君ってかっこいい名前だね!」

すごく足が速そうなイメージ。

「サンキュ、親が新幹線の中で考えてたらしい。ちなみに妹は希美。」

へぇ…妹いるんだ。いいお兄ちゃんって感じだもんね。

「実結に似てるんだよな。俺の妹。」

「えっ、何歳なの?」

「小2。」

うっ…いくらなんでも、小2はなくない?そんなにあたしって子供っぽいのかな?

「あ、ほっとけないとことかがってことだから。なんか実結って危なっかしいんだよな。この前も廊下で転んでたし。」

ええっ!?あれ見られてたの?恥ずかしいよ…!!

「忘れてね?あれはちょっと滑っちゃって…」

疾風君は笑いながらハイハイと言うけど思い出したのか更に笑った。