あーあ…なんかとことんついてない。

さらに溢れそうになった涙をごしごし袖でこする。

「はい、大丈夫?」

一緒に拾ってくれたその人があたしに落ちたものを渡してくれた。

「ありがとうございます!」

恥ずかしくてうつむいたまま受けとる。

「もしかして、みゅー?」

「えっ?」

あたしのことを"みゅー"と呼ぶのはこの世でたった一人だけ。

頭のなかに幼い頃の記憶がよみがえってくる。

「あっ、あおくん!?」

顔をあげるとなんとなく小さい頃の面影が残る、懐かしい優しい笑顔。

「やっぱりみゅーだ。久しぶり。」