胸がざわついて、そいつと実結が楽しそうに話しているのを見るとすげえムカついた。

そして気がついた。

俺も、実結が好きなんだって。

だけど、告白なんかできなくて。

好きだと思うほどそれを隠すように実結をからかって、意地悪した。

意識するあまり、実結にどう接すればいいのかわからなくなった。

中学に上がると更に実結は男に人気になっていった。

それもそのはず。

小柄で細い、華奢な体型。

少し茶色い柔らかいさらさらした髪の毛は思わず触れたくなる。

透き通るように白いきれいな肌にピンク色の柔らかそうな唇。

小さな顔に大きなくりくりとした目、長い睫毛。

男なら誰でも守ってやりたくなる雰囲気とその優しくて、天然な性格が実結を人気にさせていた。

男友達との会話のなかに実結が出るだけで、意味もなくイライラしていた。

そんな俺をよそに、当たり前のように夜だろうが俺の部屋にやってくる実結。

普通中学生にもなって仮にも年頃の男女が深夜に同じ部屋にいるのはまずいだろ?

俺だって男なんだから、好きな女の子が夜、部屋に来たら理性が保てなくなりそうだった。

だけど実結は本当に俺のこと幼なじみにしか見てないようで、それがまた更に俺をイラつかせた。

そんな日々を過ごしていた高校一年生の秋、俺は放課後実結の親友、山下早紀に呼び出された。

山下は実結とは正反対の性格で、はっきりものを言う強い女だ。

「いい加減腹括んなさいよ!見ててイライラする!」

呼び出して第一声がそれ?

なぜか山下は俺が実結に長年片想いしてることを知っている。