「今家にいるんだよね?」


彼女の声はいつもの数十倍は暗く、そして冷たかった

つっと、汗が背中をつたう


「今例の店の前にいるんだけど・・・」


そこはホテルが立ち並ぶいわゆるホテル街。

彼女の話は耳を疑うものだった


私は泣いた

悔しくて、悲しくて・・・


声を出さずに泣いた



窓際に飾ってあった花から花びらが一枚ひらひらと舞い落ちた


まるで、こうなることが必然であったかのように。


運命の歯車は動き出した

音を立てずにゆっくりと

すべてを壊しに―――――