【短編】その瞳に映るもの【完結】







置いていった赤城くんを憎んでいるかと言われたら、答えはイエス。



でも、そんな彼をまだ愛しているかと言われても、答えはイエスだ。



ねえ、赤城くん。



もうこの世界には帰ってこないんですか?




「 及川さん 」



「 すみません、先輩。待ちましたか? 」




彼は全然、と優しく笑う。




「 ......帰ろっか 」



「 そうですね 」




あたしは電車通学だ。そして彼もまた、電車通学。



同じ便に乗って同じ便で帰るけれど、そういえば同じ車両に乗ったことないな。



彼は、緊張した面持ちでいた。



その硬くなった頬を、




「 柔らか... 」



「 ......え? 」




人差し指で、攻撃。



身長差があるからちょっと大変だけど、あたしも女子の中では高いほうだから、なんてことない。