マネキン少年


私と正反対っぽい性格ももちろん苦手なところに入るけど、それより正直、なんていうか。
それは多分相田さんが一般的にイケメンに分類されるからなんだと思う。

いつまでたってもイケメン相手だと会話するのに緊張しちゃうなんて誰にも言えやしない。
態度には出さないように話してるつもりだけど、影で笑われてたりしたらどうしよう、なんて被害妄想は上手なんだから嫌になっちゃう。

ちょっとだけ耳の横に髪をおろして、後ろで髪をひとつにまとめる。
髪、もう少し明るい色に染めちゃおうかなあなんて、うーん、ちょっとピンクっぽい色にしてみたい。
うん、どう考えても私の顔には似合わないんだろうなあ。
ビューラーを出してまつ毛を少しだけあげなおしておく。
いや、全然、相田さんと一緒だからなんて意識してないけど。


「菜々香ちゃん、今日7時上がりだよね。」

「そうですよ。早く7時になってほしいなあ。」

「はは、まだ8時間以上あるよ。ねぇ、じゃあ帰りにご飯でも食べにいかない?」

「いっいですよー。」

少しどもってしまった気がする。いや、多分ほんとにどもったんだけどばれてませんように。
楽しみ、なんて笑う相田さんにどきっとしたのはイケメンだから。それに尽きる。

うん、イケメンって素晴らしい。