バッと顔をあげた私の視界には、

さっきと変わらずめんどくさそうな顔をした結真くんがいた。


「遊びでいいなら」


「え……いい、んですか?」




もう次の段階(友達)に行こうと考えていたのに、予想外の展開。

うん、とあっさりうなずかれましても…逆にパニックで。

「え、え、え、いいんですか?」

聞き返す私。



はぁ、とため息をつく結真くん。


「あ、でも言っとくけど、彼氏らしいことなんて何もしないから」




「大丈夫です!」

「あ、そう。まぁすぐに嫌になると思うから。別れたいと思ったら教えて」


淡々と言われる言葉に、覚えることが精一杯で。


「……分かりました。結真くんも、別れたくなった時は教えてくださいね」


…今思えば、なんてパニックになってたとはいえ、なんてアホなことをいったのだろうと思う。




告白した時は何ともなかった心臓が今更バクバクしてきて。その日から、私は一応、結真くん公認の彼女となった。




普通のカップルなら、付き合えることになれば笑いあったりもするのだろうけど、私は表情に気を配ることはできなくてアホ面だっただろうし、結真くんは無表情で。

「もういい?」

帰たそうにそう聞く結真くんに、とりあえずアドレスだけ聞いて別れた。