【高校2年生――冬】

何を考えているのか分からない。何事にも無関心そうで、淡々とした彼の冷たさは、あの頃からずっと変わっていない。



50分の授業時間。


何回見ても止まっているのではないかと思うくらい遅い秒針。視線を時計から外して見つめた外は、夕暮れがとても綺麗で眩しいくらい。


ゆっくりと、太陽が姿を隠していく。

きっと、次に窓の外に顔を向けた時には外は真っ暗だろうな。


陽の落ち具合と比例して、気のせいか少しずつ肌寒くなってきた室温に、ブレザーの下に着こんだカーディガンの裾を伸ばし手を隠す。


思うのは、他のクラスよりも早く授業が終わって!という小さな願い。



問題集を解いてと言われて与えられた時間。

周りは問題集とノートへ視線を落とし、ひたすらシャーペンを動かしている。


終わって…終わって…!と、何十回目かの願いを心の中で呟いた時に、やっと。待っていたチャイムの音が鳴り響く。




終わった!!


すでに解く気なんてなかった問題集を閉じる。




急いで教科書を机の中に入れて、席を立つ。


号令に適当にしたがって、誰とも言葉を交わすことなく教室を飛び出した。