「うわぁぁ〜ん!幼稚園行きたくな〜いっ!」


「こら。花音!大丈夫だから行くわよ⁉︎」


「いやだぁ〜!」


困り果てたお母さんが
泣きわめくわたしの手を
無理やり引っ張る。


朝、幼稚園行きたくなくて
泣くのは日常茶飯事で
特に珍しくもない。

いつもの出来事なのだ。


「花音。手、繋いであげるから一緒に行こう?」


パシッと優しい手が左手を掴み、お母さんと離れる。


毎日この人がいるからわたしは幼稚園に行ける。