【*斗真side*】

これは俺がまだ花音に片思い
していた頃の話。


「うわっ!また来てるー。」


「別にあんたに会いにきたわけじゃないんですけど!」


リビングの扉を開けた瞬間
彼女に嫌味を言う。


そんな俺の態度に頭にきて
言い返す彼女。


ムカついたのは兄貴にべったりとくっついていたから。


「良ちゃ〜ん。あいついじめるっ。」

「よしよし。ほら、斗真。優しくしてあげな?」


その彼女は兄貴にわざと
抱きつき、泣き真似をした。


ぽんぽんっと優しく彼女の頭を叩くように撫でる兄貴。


ああ。ムカつく。
気にいらねぇ。