小さなキミと

『お前今までどこ行ってたんだよ? オレ質問攻めで色々大変だったんだけど!』


歩きながら抗議するオレに、剛はケロリとした様子で言った。


『自転車を階段の上まで運んでた。服部の分も運んであげたんだから感謝してよね』


店の前は歩道になっているので駐車のスペースが全くないらしく、剛家の人たちの自転車は全て、外から直接住居へ上がれる下足階段の先の踊り場に停めているらしい。


『そりゃどーもありがとうございました』


『どういたしまして!』


剛に連れて行かれた店の奥には、普通の住宅で見かける玄関のような、靴を脱いで置いておくスペースがあった。


ここが、内側からの住居への入り口らしかった。


靴を脱いだ剛がその玄関の真横の階段を上って行ったので、オレも倣(なら)って後ろから付いて行った。


『うわっ、服部入るの待って! ちょっと片づけるから!』


剛の部屋の前で待たされること十数秒。


通されたのは4畳半の小さな和室だった。


ベッドと勉強机でいっぱいいっぱいのその部屋は、大きさだけならオレの部屋と大差ない。


が、オレの部屋より遥かに床が見える面積が広かった。


そして、大小さまざまな何かのキャラクターのぬいぐるみたちが、窓の下に整列していたのが印象的だった。







「あんのお喋りババア……」


剛が憎々しげにそう言って歯噛みしたのは、

剛が不在のたった数分の間に、オレが剛の母に酒を勧められるに至った経緯を話したからだ。


「まぁ、服部があの人に店ん中連れてかれた時点で覚悟はしてたけどね」


諦めたように笑う剛を見て、やっぱり笑顔が母親に似ているなと思った。