小さなキミと

「どうなのハトリくん」


「あ、あの、オレは……」


────剛が言わなかった事をオレが言っていいのか?


ったくどうすりゃいんだよ! こんなの聞いてねぇぞ剛のアホ!


「服部はやく来てーーーー!」


────早く来てじゃねぇよ!!!!


オレは数メートル先の剛に目で助けを求めた。


剛は母によって拘束されたオレの自転車を見て思い切り顔をしかめ、そして渋々戻って来た。







『父も母もまだ仕事中だから大丈夫!』


この剛の言葉にオレはてっきり、両親とも仕事で帰りが遅いとかそういう意味だと思った。


────なにが“大丈夫”だ。


全然大丈夫じゃなかったじゃねぇかよ、それに余計気ぃ遣うわ……。


剛によると、この家は店舗兼住宅というヤツらしい。


1階は剛の両親が夫婦で経営している居酒屋で、剛家の住まいは2階にあった。


つまり、今現在オレたちが、2階の剛の部屋で2人きりだという事を、剛の両親は知っている。


オレたちが付き合っているという事も、剛の両親は知っている。


ついでに言うと、剛の2人の弟たちも知っている。


更に言うと、あの時1階の店舗で飲んでいた客なら全員知っている。


すべては剛の母(別名お喋りババア)のせいだった。