小さなキミと

口を開いたまま、愕然とした様子で固まる服部。


察するにやっぱり服部は、今日の勉強会のことは知らされていなかったようだ。


「ど、どうも服部……」


サッと右手を上げてぎこちなく挨拶してみたが、返事はないし、目も合わない。


服部の表情が、徐々に驚きから怒りに変わっていくのが見て取れた。


違うだろうけど、それがあたしに対するもののように思えてならない。


不安と気まずさでいっぱいのあたしは、すがる思いで葉山くんの方へ顔を向ける。


いつもの爽やかイケメンはどこへやら、肩を震わせて笑いを堪える、悪戯小僧の姿がそこにはあった。


「へぇ~、圭ちゃんの部屋ってこんな感じなんだぁ」


そんな空気を読もうともしない結は、しげしげと辺りを見渡しながら部屋の奥へと入って行く。


「オレ帰るっ」


憤慨した服部が吐き捨てるようにそう言い、勢いよく体を起こしてベッドを離れた。


服部はこの部屋の大半のスペースを占領している、季節外れの大きな布無しコタツ机へと手を伸ばし、

どこからか拾い上げた大きなトートバッグに、机上の教科書やノートを次々と放り込んでいく。


ふぅん。服部も、一応勉強するつもりでここに来たのね……

って、そんなことを呑気に分析している場合じゃない!


服部が帰っちゃうよ?


それでいいのか、涼香!


「えー、帰るの? つまんねーなぁ」


葉山くんは止める気がないらしい。


もうっ、肝心なときに適当なんだからっ。


「ま、待ってよ服部。
いいじゃん、一緒に勉強しようよ。きっとその方がはかどるよ?」


遠慮がちにそっと服部のそばへ歩み寄りつつ、引き留めようと試みる。


だけど服部は、あたしの方なんて見向きもしない。