私の初恋は小学3年生の時だ。

その人の名前は阿部将吾(アベショウゴ)。
初めて同じクラスになった時にその人は何かとクラスの中心にいる人で、憧れだった。

ところがある日、
「○○ちゃん!」
と私の名前を将吾が呼んだのだ。びっくりしてその方を向くと、プリントを手渡され
「なにみてたのー?」
と話を続けてきた。何を話せばいいかわからず、とっさに、
「なにも。」
と無愛想に答えてしまったのだ。
可愛げの無い返事をしたあと、将吾は、
「いっつも夏恋といるとき笑ってるのにな。おれのこときらいなの?」
と聞いてきた。
夏恋とは、幼稚園から一緒の親友だ。クラスも一緒でずっと仲良くしていた。
「嫌いじゃない」
といって笑うと、安心したような顔で自分の席に戻った。

私は顔が熱く、心臓がドキドキしていて、これが恋だと気づいた。

それからの私は好かれようと
彼に聞こえるような大きな声で笑ったり
喋ったりしていた。

たまたまこっちを向いていた彼を見てみると私の視線に気づき、笑いかけてくれた。

これは両想いかもしれない…!!
と思ってしまった。

それから、家に帰り、
『すきです。
話しかけて来てくれて嬉しかった。
ずっと話していたい。
ほんとにすきです。』
と手紙を書き、ランドセルのポッケにしまり、宿題をし、眠りについた。

朝起き、書いたことをわすれ、普通に朝ごはんを食べ時間割を揃えた時にいわゆるラブレターをかいたのを思い出し、ポッケを見、ドキドキしながら学校に向かった。

学校につき、お昼休みに渡そうと考えていたわたしは、机の中に教科書をいれランドセルを棚に戻すとき、事件はおこった。

「あー!!○○、それなんだ!?」
と大きい声で私の名前とともにさけんだ優来がドアの前に立っていた。なんだろうと思い、ふと下に視線をやるとラブリーに飾り付けた私のラブレターが落ちていたのだ!
(しまった!!)
と思い拾い上げようとするも所詮小3の女子の力、ラブレターは取られてしまった。
「返して!」
と声をあげるも教壇の上に上り背の順で一番前の私には到底届かない場所だった。

それに気づいたクラスメイトが全員優来の方を向いた。もちろん、将吾も。

そして優来は私のラブレターを開き
読み上げた。

それをずっと見ることしかできなかった私は将吾の方をふと向いた。すると将吾は顔を真っ赤にし周りの輩に絡まれて困っていた。
それで私はその場にいることに耐えきれず教室を飛び出しトイレの個室に駆け込みカギをしめた。
あまりのショックに何も頭に浮かばず、
気づいた時にはトイレに夏恋と野次馬と担任の女教師がトイレの前に立ちわたしをなだめるように話しかけていた。
「はやくでてきなさい、優来にちゃんと怒っておいたし野次馬はもういないよ。ちゃんとしまっておかない○○ちゃんも悪いのよ。」
ときこえた、
(は?)
私が悪い?
気持ちを書いちゃいけないの?
悪いのは全部優来じゃない。
そう呟きながら出た途端先生が怒り出した。意味わからないと思いつつ聞き流し説教が終わった。
そのとき、夏恋が私を抱きしめた。
「つらかったね、全部優来が悪いんだ、きにしないで」
としゃべりかけてくれた。その一言で涙が溢れ、そのまま教室にもどった。

2時間目が終わりレクタイムに人が集まってきた。先生の嘘つき。野次馬いるじゃんと思いながら席を立ち夏恋といっしょに絵を書いてた。

すると、同じクラスになり、まあまあ仲が良くなった亜弥が後ろを追いかけ、わたしに話しかけてきた。
「将吾くんね、優来から手紙奪ってぐしゃぐしゃにしてゴミ箱に捨てたんだよ。」
といらない報告をしトイレに行った。、

(…最悪だ)
それは将吾と阿弥のことを指し、私は再び泣いて夏恋になだめられ、この恋が終わった。