「はい!三城楓は本日をもって無職となります!!」
いきつけのBar<Sky>。その雰囲気にそぐわない声で右手を挙げ高々と宣言すると、横から大きなため息が聞こえた。
「楓、他のお客さんに迷惑だから」
そう、横で迷惑そうに話しかけてくるのは三島由紀。私の母方の叔父。
「だって、いきなりだよ!しかも、寮だから出てかなきゃ行けないなんて…家無しで無職…飲まなきゃやってられないわよ!マスター同じの!」
今まで飲んでいたものと同じものを注文しようとすると、由紀兄に止められ代わりに烏龍茶を持たされる。
「確かに、それはやってられんわな。だが、流石に飲み過ぎ。1ヵ月近くの猶予があったのに次の仕事見つけられなかったのか?」
「だって…」
今日までのことを思い出すと涙が止まらず、カウンターにうつ伏せになりながら泣く。
何故こんなことになっているのか…約1ヵ月前に遡る。



