「どう?この浴衣!」




亮助の目の前で、ふわりと舞って笑う。

返ってくる言葉なんて皮肉か意地悪だと分かりきってた。





「…かわええ」





だけど返ってきた言葉はその一言。亮助が小さく呟いたその4文字にあたしは目をパチクリさせた。








「……え?」

「せやから………かわええゆうてんの」





再び照れて俯く亮助の耳が真っ赤な事が、薄暗くなった空の下でも分かった。

そんな亮助をみて、とくんと何処かが音を立てた。








「う、ん…あ、ありがと」

「…おん」








な…なんだ、なんだ、これ。とくん、とくん、と鳴る心臓が締め付けられる。静かな場所のせいで、その音はあたしの中に響き渡った。

いつの間にか顔が熱を帯びてきて、すっごく恥ずかしくてたまらなくなった。


あたしは亮助の顔が直視出来なくて思わず空を見上げる。






「亮助、みて!一番星!」







その言葉に優しく笑った亮助の表情は、あたしの瞼に焼き付いて離れなかった。