かごの中の鳥は

一葉が目を開けるとご主人様の唇が重なっていた。
今までにかないほど優しく長いキス。
頭の芯まで痺れて何も考えられなくなるほど。
「一葉。もうどこにも行かせはしない。『外』に2度と出られないように鍵をかけて鎖で繋いでおこうか。誰め見ないようにオレしか見ないように暗示をかけて。お前はオレのものなのだから。オレのことだけ考えていればいいんだ。それができないのなら一葉、お前を殺してしまうよ?」
あの時の妖艶な笑みを浮かべながら話すご主人様に一葉は悦びさえ感じていた。
「はい。ご主人様。一葉はご主人様のことしか考えません。2度とご主人様の傍を離れたりいたしません。もしそのようなけとがあればその時はご主人様の手で…」
ご主人様の手にかかって死ねるなら本望だ。
「さあ。屋敷に帰るぞ。また忠誠の儀式をしなければならないからな」
ご主人様に抱き抱えられながら、一葉は次第に意識が遠退く中その言葉を聞いていた。

2度と出られぬその腕の中で……。




 かごめ かごめ
  かごの中の鳥は――

翼を取られた鳥は2度と外には出られない……。

死ぬまでずっと、かごの中……。