天使が舞い降りるまで

ずっと泣いていると、後ろから声が聞こえてきた

声…、というより歌声が…

とても素敵な声だった…

透き通るようなきれいな声

でも、何かを伝えようとしているように思える歌声だった


私はその声に釘付けでその声の主が近づいていることに気が付かなかった

「あれ?先客?」

え・・・と・・・、

私はいきなり現れた彼にビックリしすぎて、全く頭が回っていなかった

「すみません。ここに誰かいるなんて思ってなくて・・・えーっと・・・」

彼も困っている様子だった

「えーっと、私は大丈夫です。こちらこそ、すみません」

なんとか言葉を出してみた


「私、帰りますね」

彼がすごく困っている様子だったので、帰ることにした

でも、私は動くことができなかった

腕を捉まれて帰ることができなかったのだ

「えっ・・・」

びっくりしすぎて何もいえずにいると、先に彼が話し出した

「俺は他に人がいても大丈夫ですよ」

と言ってニコッと笑った

彼の屈託のない笑顔が嘘じゃないことを物語っていた