天使が舞い降りるまで

桜…

こんなに切ない気持ちで桜を見るなんて思ってなかった…


毎年、桜の季節には家族や親友とお花見で盛り上がって、にぎやかな季節だったのにな…


今年はお花見は無理かな…


でも、でもいつもの場所でもう一度…もう一度だけ…


「お母さん…」

「んっ?美帆どうしたの?」

帰り道の途中で私は立ち止まったて、お母さんを呼んだ

「お母さん、私…」

私が口ごもって、何も言えずにい沈黙が続いていると
先にお母さんが沈黙を破った

「桜を見に行きたいのね…」

えっ…

なんで分かるの?

「母親の勘をなめちゃ駄目よ」

ふふっとお母さんは笑った


どうしてこう母親っていうのは何でも分かるのかな?

ほんと、すごいよ…


私の一番の理解者、お母さんは私の世界一のお母さんだよ


「……うん、私、いつもの場所でもう一度、あの桜を見たい…」

私はお母さんの目を真っ直ぐ見ながら自分の意思を伝えた


お母さんは少し黙ってから静かに話始めた…

「ほんとは…今、美帆を一人で行かせたくないけど…美帆のことを考えると、一人で行かせるのが正解なのかもしれないわね…」

お母さん…

「いいわよ、行ってきなさい。でも、遅くならないように帰ってくるのよ。」

私は、大きく頷くと『ありがとう』と一言言って走り出した