「心から笑いたい。」私はずっと思ってた。だけど私が心から笑うと、周りの人が私の前から姿を消してしまう。だから私は・・・「笑わない」。
侑依5歳-。母親とデパートへ行った帰り道…。右手に風船、左手に母親の手。風船をもらったのが嬉しくて心から笑っていた時、不幸は起きた。
「あっ風船!」私の手から逃げる様に飛んだ風船を見て母親が、
「ちょっと待っててね。」と言って私の手を離して風船を追いかけた。その直後たっだ。キィーッ激しいブレーキの音がした。小さいながら私は嫌な予感がした。恐る恐るその方向を見ると、私の風船を持った見慣れた洋服姿の女の人が道路に横たわっていた。あの時、母親の手をつかめなかった私に、私は後悔してる…。
「ママーッ!」私の風船を追いかけ赤信号の交差点に進入した母親は車にはねられ、病院に運ばれた直後この世を去った。それ以来、私は風船が嫌いになった。