血の記憶










私は、誰にも言ってないはずなのに。



「たまたま見てたんだよ、体育館裏に二人が行くところ」



怪しんでいる私の心境を読み取ったかのように言った亮くんの顔はさっきの無表情と一転、にこやかで安心した。



「えっと、あの黙っててごめんなさい。ちゃんと断ったから言う必要もないかと思って」


「言う必要があるかどうかは俺が決めるから。だからこれからは隠し事は一切なし」



分かった?そう顔を覗き込まれ必死に首を縦に振った。


優しい声の裏に隠されたものが怖かった。







家の前で名残惜しそうに解放された私の手は赤く熱をもっていた。