血の記憶







「翔真………?」



私の声は小さくてそれでも静かなこの空間には思ったより響いた。


それでも微動だにしない翔真に不安になってゆっくり近づいていく。


そんな私に気づいているのかいないのかただひたすら外を見つめている翔真の背中。


触れたら壊れそうに見えて伸ばした手を引っ込めた。


代わりに翔真の隣まで歩いて同じように外の景色を眺めてみる。


春に咲き誇っていた桜はとっくの昔に影を潜めていて夏らしい青々とした葉を繁らせている。


そういえば最近日差しが強くなってきた。


もうすぐ夏服の出番か……、憂鬱。


夏なんて来なければいいのに。



「――――ごめん」


「え?」



考え事をしていた私は翔真がなんて言ったのか聞き取れず顔を翔真に向けた。