血の記憶






「……翔真、か?お前なんでここに」



突然驚いたような声が聞こえ顔をあげた私の目に映った人。



「親父?親父こそなんでここにいんだよ」

「俺は今日はここでちょっと仕事だ。そちらのお嬢さん、は……香坂、さん?」



こっちを見て驚いたように目を見開いき私の名前を呼んだ40過ぎぐらいの男の人。


――――やっと分かった。


違和感の正体が。


どうして今まで思い出せなかったのだろう。


長居 雅敏(ながい まさとし)


昔、あの事件でお世話になった警察官の名前だ。


そして翔真のお父さんでもある。



「なんで親父が奈央の名前、知ってんの?」


「それは、」


「言わないで…!」



なにかを言おうとした長居さんの言葉を悲鳴に近い声で遮る。



「あっ、奈央!」



翔真の静止も聞かずその場から逃げだした。