血の記憶







さっきから翔真があいつに見えてしょうがない。


違うって分かってる。


頭では分かってるのに距離が縮まる度勝手に震える身体。



「じょ、冗談でしょ…?」


「冗談に見える?」



見えない。


そんなの分かってる。


ただ信じたくなかっただけ


逃げようとしただけ



「奈央、震えてるの…?」



目の前まできた翔真が驚いたように目を見開く。


当たり前だ。


私の身体の震えは抑えなど効いていないのだから。


ガタガタ震える私を見て翔真が腕をあげた。その腕に反射的にビクッと肩が揺れた。

そんな私に構わず翔真の片腕が頭に周り翔真の胸へと引き寄せられた。



「…っ離して」



腕を咄嗟に突っぱねて距離をとろうとするけど、頭の後ろにまわっている翔真の腕は力を緩めず逆に強まった。


翔真の胸に顔を埋める私の耳に心臓の音が届いた。