血の記憶







微妙な空気のまま駅への道を歩く私と翔真。


耐えきれず口を開いたのは私。



「そういえば報告ってなにを?」



聞いた瞬間翔真が真顔でこっちを見る。


聞かなければ良かった。


咄嗟にそう思った私は弱虫だ。


翔真が口を開いた。


嫌な予感がする。


出来ることなら耳を塞いでしまいたかった。


なのに動かない私の手。



「約束通りもっと好きな子ができた、って」


「……好きな子?」



情けなく震えた声の私。


違うと、私の嫌な予感は当たらないと確かめるために聞いたはずだった。



「俺が好きなのは奈央だよ」



私の身勝手な願いはあっけなく崩れた。


翔真が振り返った。


いつの間にか歩くことをやめていた私と翔真の間には距離ができていたみたいだ。


翔真が一歩一歩その距離を縮めてくる。