血の記憶







意外に近いその距離に微妙に緊張する。


翔真はそんなことなど気にもとめていない様子。



「電車乗るの久しぶりかも」



……はぁ、意識するだけ無駄ね。


久しぶりの電車にはしゃいだ様子の翔真に呆れながら外へと視線を向ける。


外はもう雨だったことなど忘れたような綺麗な夕焼け空だった。







「――お、奈央起きて」



どうやら私は外の景色を見つめているうちに寝ていたらしい。


名前を呼ばれゆっくり目を開けた。


そんな私に映り込む目の前の無駄に整っている綺麗な顔。



「ちょっと近い」



言いつつ翔真の肩を軽く押すと不満そうな顔をしながらも離れてくれた。



「もうちょっとキャーとか、照れたりしてくれてもいいのに…」



……なにを言ってるのよ。


そんなことをしていると電車がだんだん減速していく。



「あ、着いた」



外は薄暗くケータイを取り出し時間を確認すると6時過ぎ。


電車に乗ったのが4時ぐらいだったから―――2時間ぐらい乗っていたのね。