血の記憶






「いやいや、どこが?いまだにあいつのこと考えては泣くし、今だって手が震えてるし」



「…それでも過去に立ち向かおうとしているでしょ?泣いても震えててもそれでも戦える。翔真にはそんな強さがある」



それは私にはないものばかり。


私は今も逃げ続けている。



「ははっ……奈央にはやられたよ、ありがとな」


「…それはどーも」



急に笑顔にならないでよ。


眩しくて直視できないじゃない。


タイミング良くホームに滑り込んできた電車。


良かった。


これで少し火照った頬を冷ますことができる。


乗った車両はいい感じに席が空いていた。

当たり前だ、平日の上に夕方だから。


多分帰りは遅くなるだろうな。


そんなことを考えながら席に座る。


私は窓際、その隣に翔真。