血の記憶






駆け出した俺の目に映ったもの


フラフラとそれでも確実に


後ろから菜央に近づいていく男。


黒のキャップを被り、白いTシャツ、春にしては比較的暖かい日に長ズボンを履いている。


何かが変だ。


でも何が?


分からない、でもこのままじゃヤバい!


この時何故かは分からないけど嫌な予感がしたことだけは覚えている。



「……っ菜央!」



訳も分からない衝動に駆られ声の限り叫ぶ。


その声に気づいたのかこっちを向いて安心した笑顔を向ける菜央。


違う違う違う!


急に叫んで走りだした俺に周りが不思議そうな顔を向ける。


俺が走り出すと同時に黒いキャップの男も菜央へと駆け出した。