血の記憶





「峯岸……?」



消えてしまったような錯覚に陥り不安になって名前を呼ぶ。


本棚の間からでて窓の方を見るとそこにいた。


開いた窓から外を眺めている峯岸の姿。


思わず隣に立っていた。


同じ景色を見てみたくて。


隣に立っていた。


君が見ている世界と同じところにいたくて。


こんなに追いかけても菜央の世界を俺が見ることはなかった。


最後の瞬間まで――――。



「あ、もう終わった?」


「うん。峯岸はなにしてたの?」



すると再び外の景色に視線を移し



「桜、見てたの」



桜?


確かに図書室から桜は見える。



「そんなに好きなんだ?この前も言ってたよね」



俺の言葉に驚いたように目を丸くして



「……覚えてたんだ、もう忘れちゃってるかと思ってた」



そうぽつりと言葉を置いてふわりと桜が舞うように笑った。


その顔を見た俺は何かが飛んで


気づいたら


抱きしめていた。