血の記憶





「えっと、この本はね……」



不意に俺の隣に来た峯岸に心臓が跳ねる。

開いている窓から風が図書室へと入ってくる。


その風に吹かれた髪がフワッと靡く。


シャンプーの匂いだろう。


甘い匂いが風にのって俺の鼻をくすぐる。



「……ね、分かった?」


「あー、うん。ありがとう」



正直全く聞いてなかった。


だってそうだろう。


こんな奴が隣にいて平然としていられる訳がない。


それでもなんとか本棚に一冊一冊なおしていく。


多分本の大半は峯岸がなおしたんだろうけど。



「よし、これで最後…っと」



トンッと本棚にしまい周りを見渡すと峯岸がいない。


本棚と本棚の間を歩いて見ていくけど影も形もない。