血の記憶





「うん、大好き」



いきなり声をかけた俺に一瞬不思議そうな顔をしたが、すぐに満面の笑みを浮かべる。


また心臓がうるさくなる。


静まれ心臓。


大好きなのは俺じゃなくて桜だから。



「ふーん、俺そこまで好きじゃないな」



言葉にしてから後悔する。


ここで好きって言えば話が盛り上がったかもしれないのに。



「なんで?」


「なんでって………」



桜に嫉妬した、とか言えるわけがない。



「なんとなくだよ」



結局弱い俺は無難な言葉を選んだ。



「……桜って、咲いてから散るまで早いでしょう?咲くまで時間はかかるし」



不意にぽつりと呟いた言葉に耳を澄ます。