「…で?何があったん?」
だいぶ落ち着いてきた俺にそう問いかけてきた。
こいつには言う必要なんてあらへん。
これは俺自身の問題なんやから。
そう考えとったら林檎がいきなり俺を抱き締めてきた。
「私…信じてるから!有央が理由もなしにあんな事するはずないって。」
「……俺、母さんに…捨てられた。」
一瞬、林檎の抱き締める力が弱なった。
「そんなはず…あらへんっ!」
「嘘やない。
机の上にある15万。
母さんが置いてった。
灰皿の中の灰…
春の遠足で撮った母さんとの2ショット写真。
俺が燃やした。
母さんの部屋…
母さんのものなんて何ひとつ残ってない。
母さんの姿も、
声も、
匂いも何ひとつ…
残ってない。」
そう言いながら、俺は泣いていた。

