私が名古屋の学校に通い始めたのは9月の始業式からだった。

本当は7月から通えていたのに、
どうしても通う気になれなくて、9月からにしてもらったのだ。

始業式、転校初日の日…。

「静かにしろー。えー今日は転校生を紹介する。埼玉から来た女の子だ。佐伯、入ってこーい。」

「初めまして。埼玉から来ました。佐伯柚子です。わからない事がほとんどなので色々と迷惑をかけるかもしれませんがこれから、よろしくお願いします。」

「みんな仲良くしてやれよー。じゃ佐伯は…旭!旭の隣が空いてるからそこに座ってくれ。」

「っ?!…はい。」

「俺、旭 有央(あお)。よろしく。」私は…

「私、佐伯柚子。こちらこそよろしくね。」旭と言う男に出会った。

「わかんない事、なんでも聞いてな?」有央…。旭は苗字かぁ…。

「ありがとう、旭君。」見た瞬間、本当にあの旭君かと思った。

顔とか、結構似てたし…。でも、旭は苗字。

彼の名前は旭 有央。私が好きなのは鳥内 旭。

顔や名前が似ていても、2人は全くの別人…。

ましてや、もう会えないはずの旭君がまだ好きなんて…

私って重たい女…。

旭君は、どうせ私の事なんか忘れてるだろうに…。

旭君は諦めよう…。

今の恋を忘れるには新しい恋。

次の恋を見つけよう。

これで本当にさようなら、旭君。