この気持ちに名前をつけるなら



私が何かしてあげたくても、私ができることはない。

せいぜいカレーを作ってあげるくらいだ。



「私の親、私が中一の時に離婚したの」



私は投げ出した爪先を見つめながら、口を開く。

自分の家のことを自分から話をするのは初めてだったけど、何故か自然と言葉が出た。



「いつからだったかもうよくわからないけど、一番下の弟がまだ小さい頃から両親は喧嘩ばっかりだった。

私、最初はそんなつもりじゃなかったんだけど、下の弟妹もいたし、親には喧嘩してほしくなくて、いつも気を使って明るく振る舞ってた」



親が喧嘩しそうになったら弟妹たちを外に連れ出したりしたこともあった。

料理をしたり、プレゼントして親を喜ばせようとしたこともあった。

勉強も頑張った。

お母さんはその度に申し訳なさそうに笑っていたけど、その顔はすごく疲れていた。

私は子供ながらに必死だった。

お父さんの機嫌を取ることに。

弟妹が悲しまないように。

お母さんにも笑っていて欲しかった。


近所の光太や光太のおばさんにはいつも心配されてたけど、私自身は不思議と辛いとは思わなかった。

家族のためなら頑張れた。