「野上、ありがとう」

「どういたしまして」



笑って、私は玄関を出た。



腕時計を確認すると、もう午後7時を回ろうとしていた。

味の染みた大根が家で待っているはずだ。

私は自転車に跨がり、いい気分で家路を急いだのだった。

そういえば、何かあったときのために、連絡先教えておけばよかったかも。

そう思いながら。