「決めるときは、ちゃんと相談する」



車のテールランプを背に、光太は微笑んだ。




どうして、光太はこんなにも優しいのだろう。

光太は、全部わかっているのだ。

私の気持ちを。

私の不安を。

私のもやもやしたもの、全部。

私は、光太に例え彼女が出来ても、遠くの学校に進学しても、それを止めたいとは思わない。

いつだって「おめでとう」と言ってあげたいと思っている。

光太に一番大切な人ができるまで、私は光太を一番に応援したい。

私がいつもされているように。

だけど、やっぱり寂しいって思う気持ちも嘘じゃない。

それは私の独りよがりで光太に押し付けるものでは絶対にないけど、いくらそれを隠そうとしても光太にはいつもお見通しなのだ。

私が応援したい気持ちも、ちゃんとわかってる。


「さて、帰ろうっ」



光太は勢いをつけて自転車に跨がった。

私もそれに続く。

少し前を走る光太。

チラリと私を気にしながら。



光太の背中は、とても大きい。

本当に、大きくなったと思う。