この気持ちに名前をつけるなら



そのまま立ち木の影に隠れるように引っ張られる。

口も塞がれ、腕を引かれた勢いで、私は坂下の胸に飛び込んだ。



な、何事……っ?!



私は驚いて動けなかった。

顔に熱が上がり、変な汗が吹き出てきて、顔を上げる。

しかし坂下は特に気にもせず、立ち木の影からホテルの入り口の柱の方を見ていた。



「高槻だ」



坂下は小さな声で早口に言った。



「え、」



私は我に返って坂下の視線の先を追う。

そこには、先日私に声をかけてきた隣のクラスの女子と光太のツーショット。



私はすぐに理解した。



告白だ。



悪いことをしている気がしたが、二人からは目が離せなかった。

しばらく何か話していたけど、程なくして女の子が走って離れて行った。

俯いて、泣いているように見えた。



なんとなくホッとしていることに気付いて、複雑な気持ちになる。

視線を感じて坂下を見ると、坂下は何も言わずに唇の端を持ち上げて私を見ていた。

その顔の近さに、私は慌てて視線を落とすしかなかった。