「高槻と野上は星みたいだな」
「……え、」
ぼんやりと昔を思い出すように耽っていると、急に光太の名前が耳に飛び込んできた。
坂下に話していたはずなのに、坂下の存在をうっかり忘れていた。
「ぶつからずに一定の距離を保ちながら同じ軌道を回ってる」
「……星、」
「純粋で、唯一無二で、キラキラと輝いて、眩しい」
「……、」
「手を伸ばしても、全然届かない」
私と光太の話をしているはずの坂下の視線は、遠く夜空を見上げていた。
「でも、手が届いちゃいけないんだ。絶対。手が届くと、握りつぶしちゃいたくなる」
横顔が、すごく痛々しくて、私は咄嗟に置かれた手に触れた。
ビクリ、と震える坂下の身体。
見開いた瞳。
そして、その視線には、すぐに影が落ちる。
唇は弧を描いているのに、目が笑っていなかった。
「野上も気を付けてね。握り潰されないように」
伸びてきた手が私の額に触れる。
私は坂下の顔から目を離せずにいた。
ふと、坂下の視線が動く。
「しっ」
坂下はそのまま私の口を塞いで、腕を引いた。


