「アイ!来て来て!」


私がこの世界に迷い込んでからたぶんまだ1日目くらい。


サラはずっと一緒にいてくれる。


そして、空が暗く染まることはない。


「ま、待って……。」


サラは嬉しそうにパタパタと軽い足取りで走っていく。


それを私は必死に追う。


でもすぐに足は止まり、「わぁ……っ!」と、歓声を上げてしまった。


サラがつれてきてくれたのは、すごく広いお花畑。


枯れている花はなく、全部の花が綺麗に咲き誇っていた。


 こんなに綺麗なお花畑があるんだ……!


「ね、綺麗でしょう?」


サラが花に見とれてしまっている私の顔を覗き込んでくる。


「あ、うん。本当、すっごく綺麗……。」


驚きすぎて、少し言葉を詰まらせてしまった。


「でしょっ?私のお気に入りの場所なの。」


サラは長い髪を揺らしながらしゃがむと、花を見つめながら微笑む。


「……ねぇサラ。」


「ん?」


サラは私の呼びかけに、視線を私の方に向けてくれる。


そして私は気になったことを聞いてみた。


「どうして、夜がこないの?」


そう。何時間も経ったはずなのに、全く空が暗くならない。


「あ。この世界には夜がないの。だからずっと明るいままよ。眠りたい時は眠ればいいし、遊びたい時は遊べばいいの。」


 え、本当に夢みたい。


 夜がない?


 ずっと明るいまま?


 空が暗くなることはない……?


 じゃあ、この綺麗な空をずっと見ていられるってこと?


 ……まだ実感がわかない。


 だってこんなに自由で幸せで、私が夢に見ていた場所が存在しているなんて……。


「ねっ、ほら見て。蝶々。」


サラの笑顔は癒された。


何をしていても楽しそうだった。


それに、こんなにも話しかけてくれる人がいるなんて、小学生以来。


お父さんとお母さんも、離婚する前は私にすごく優しかったのに……。