「あなた、名前はなんていうの?私の名前はサラ。この世界の案内人よ。」
見とれていると、彼女が話し出していて私はハッと我に返った。
「あ、私は……神崎愛……です。」
「かんざき……あい。「アイ」ね。私のことは「サラ」って呼んで。」
「え、で、でも……。急にそんななれなれしくなんて……。」
「いいじゃない、ね?アイ。」
サラという子は、私の手を取りそう言った。
見た目通り、彼女はとても優しくて親しみやすかった。
「やっぱりここは、天国なんだ……。」
私がまた呟くと、サラは言った。
「アイ。さっきも言ったように、ここは天国じゃないの。」
「え……じゃあここ、どこ……?私、屋上から飛び降りたはずなのに……。」
「ここは、時空を超えた世界。あなたたち人間で言う「異世界」よ。」
「い……せかい……?」
どういうこと?
異世界?
あの、アニメとか漫画とかでありそうな……?
「そう。ときどき……本当にときどき、ここに人間が迷い込むの。」
「……サラは、いつからここにいるの?」
「そうね、五百年前くらいからかな。」
「ご、ごひゃくねん!?し、死なないの……?」
「不老不死なの。歳もとらない。何をやっても死なない。ずっと健康的で生きていけるのよ。」
「……。」
私には、夢にしか思えなかった。
だってこんなこと、ありえないもの。

