うっすら見えてきたのは、綺麗な青。
意識がはっきりしてきた頃には、少しずつ景色が見えてきた。
私がいたのは、生き生きとした緑の草の上。
どこまでも続く青い青い空の下。
そして白い白い少しの曇りも見せない綺麗な雲。
すべてに光があって、キラキラ輝いている。
黒や灰色の要素が全くない。
居心地がいいのを私は一番に感じ取った。
寝ている体勢から、座る体勢になる私。
「ここ、どこ……?」
私、屋上から飛び降りたはずなのに……。
キョロキョロとしていると、私が見たものは……大きな月。
「なにこれ……。」
まだ明るくて、夜ではないのに月がある。
しかも、普通の月じゃない。
歩いて近づいていったら、もう手でさわれそうな、すごく迫力がある丸い月だった。
のみこまれてしまいそう。
でもその月は透けていて、向こうの空が見えている。
まるで巨大なシャボン玉が浮いているかのよう。
いったいどうなっているのか理解ができなかった。
あ、そうか。
私、死んだんだ。
楽になれたんだ。
そしてここは……
「天国。」
そう言葉にした。
「天国って、本当にあるんだ。」
私は大きな丸い月を見ながら呟いた。

