「どこか遠くいにいきたい」


ふと出てきた言葉がこれだった。


自分の両手を見ながら、そこにある傷を優しくさすり、そう言った。


 どこか遠くに行きたい。


 そう、どこか遠くに……。


 誰も私をいじめない。


 誰も私を傷つけない。


 誰も私を拒まないところ……。


 こんなに空が、曇っていないところ……。


 居場所がほしい。


 安心できる居場所が欲しいの。


 でもそんなところ……あるわけない。


 だって私には、この世界に必要とされていないのだから。


気づくと私は、学校の屋上にいた。


「どこか知らない世界にでも、行けたらいいのに……。」


ただの独り言。


そして、私は屋上から飛び降りた。


悲しいとか、苦しいとか、怖いとか、寂しいとか、一瞬にして真っ暗になって、なにもわからなくなった。