「愛されたいっ……!


 「あいつといても楽しくない」って思ってほしくない。


 「うざい」って思ってほしくない。


 「いらない」って思ってほしくない。


 「消えたらいいのに」って思ってほしくないっ。


 友達だって、本当は欲しい。


 一人はイヤ。


 みんなが笑い合って幸せそうにしているのが羨ましかったっ。


 過去の自分が羨ましかったっ。


 過去の自分はすごく贅沢だったっ。


 友達に囲まれて、家族にも愛されて、すごくすごく幸せなことだったんだっ。


 なのに私は、それをあたりまえのように思ってた。


 友達がいるのがあたりまえで、家族と毎日一緒にご飯を食べるのがあたりまえで、毎日笑って過ごせるのがあたりまえなんだって……っ。


 「幸せ」があたりまえになってて、ひとつひとつが幸せだったことに気づけていなかった……っ。


 私は、毎日が幸せに過ごせていたことにも気づかずに、それ以上にわがままになってた。


 だから、バチが当たったんだっ。


 みんながいてくれたから、私は幸せだったのに。


 みんなが支えてくれていたから、私は笑っていられたのに。


 「あたりまえ」だなんて思っていた私に、「あたりまえ」じゃないことを、愛されることは「奇跡」なんだってことをわからせるために、今、私はこんな状況に立たされているのかもしれない……っ。


 でも、それでも私は、また贅沢になっていく……。


 また笑いたい……。


 下を向いてばかりの自分なんてイヤ。


 幸せに……なりたい。」


私は、涙でぐしゃぐしゃになった顔を服の袖で拭う。


サラとナギがどんな顔をしているかなんて、涙でぼやけてわからなかった。