「みんな、「いらない」って言うの。


家でも学校でも。


……私が中学に入ってすぐ、お父さんとお母さんは離婚しちゃったんだ。


お父さんの浮気だった。


お母さんがそれを知って、お父さんに詰め寄ったら、お父さん逆ギレして、お母さんをぶったの。


私は怖くて、見ていることしかできなかった……。


しばらくたって、お父さんから離婚の話を出されたみたいで……。


お母さん、離婚してから人が変わったように私に対してのあたりがきつくなった。


「あんたなんか、あたしの子供じゃない」って。


「あいつとの子供なんていらない」、「出て行け」って、毎日毎日言われて……。


何度も何度も殴られた。


学校ではいじめられて、みんなに「死ね」って言われる。


暴力だって振るわれる。


みんなみんな、私を責めるの。


どうしていじめられているのか理由はわからない。


聞いても「ウザいから」としか答えてもらえない。


私の味方なんていない……。


日に日に傷が増えていくばかり。


心も体も、もう耐えられなかったっ……。


そして私は、気づくと学校の屋上にいた。


「これは、楽になれるチャンスなんだ」って……そう思ったの。


そして、何のためらいもなく私は飛び降りた。」


はじめは普通に話していたはずが、話していくうちになぜだか私の頬には涙がこぼれていた。


「……それで、ここに来てしまったのね……。」


サラの顔を見ると、サラの綺麗な瞳からこぼれた涙が、頬をつたっていた。


 どうして……サラが泣いているの?


そして、サラは私のことをぎゅうっと強く抱きしめた。


「さ……ら?」


「つらかったよね……っ。ずっとっ……ひとりで……耐えてきたのねっ……。」


 ……え。


サラは、私の背中を優しくさすってくれた。


私も、つられるかのようにサラのことをぎゅうっと抱きしめた。


誰かが自分のために泣いてくれるなんて、今までなかった。


ずっと、誰かに苦しいことを知ってほしかった。


ずっと、誰かに優しい言葉をかけてほしかった。


ずっと誰かに……抱きしめてもらいたかった。