マンションと目の前に着くと、私は緊張をしたように、息を吐く。


もしかしたら、このままずっと、鬼龍のみんなと会えなくなるかもしれない。


だけど、しょうがないんだ。


私は意を決して、マンションの中へと足を踏み込んだ。


エレベーターに乗り込み、10階のボタンを押す。 


機械的な女性の声を聞きながら、私はタクへの恐怖を考えていた。


付き合っていた時は、確かに優しかった。


しかし、今はどうだろう?


憎む相手に、冷静でいられるのだろうか。


まず、タクは私のことをまだ好きでいてくれているのか。